学校統廃合手引の位置づけと手引作成の偽りの理由づけ

学校統廃合手引の位置づけと手引作成の偽りの理由づけ

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手引の位置づけ

(2015年1月29日)

「手引」作成の偽りの理由づけ

「手引」は、学校統廃合の判断について「国に対し、検討の参考となる資料の提供や優れた先行事例の提供を求めている」市町村や都道府県が多いことから、「基本的な方向性や考慮すべき要素、留意点等を取りまとめたもの」とされています(「手引」4〜5ページ)

 

あたかも市町村や都道府県のニーズが強いから作成したかのように言っていますが、これは恣意性を感じます。

 

もともと政府が、義務教育委予算削減のため公立小中学校の統廃合を進めたいから「手引」をつくったのに、「市町村や都道府県のニーズ」にもとづき取りまとめたとはよくも言えたものです。

 

文部科学省が昨年5月に全国の都道府県・市区町村教育委員会を対象に行った、学校統廃合を進めることを前提とした調査(※)でさえ、「学校配置の適正化に関して国に望む支援」で、県でも市区町村でも最も多いのは、「教職員定数の加配措置による支援」次いで「施設整備への補助」です。

 

「学校規模適正化の適否を検討する際に参考となる資料の提供」は、それほどニーズが高いものではありません。

 

(※) 「学校規模の適正化及び少子化に対応した学校教育の充実策に関する実態調査」(2014年5月1日調査)

 

市区町村が国に望む支援

学校適正配置で市区町村が国に求めるもの

※ 「学校規模の適正化及び少子化に対応した学校教育の充実策に関する実態調査」
(2014年5月1日調査)より作成

 

このように市区町村が国に望む支援は、「教職員定数の加配措置による支援」「施設整備への補助」が圧倒的に多く、「学校規模適正化の適否を検討する際に参考となる資料の提供」は44%で、全市区町村の半分もありません。

 

また、「学校規模適正化の適否を検討する際に参考となる資料の提供」と「統合が困難な小規模校への支援の充実」が、ほぼ同程度となっています。

 

都道府県が国に望む支援

学校適正配置で都道府県が国に求めるもの

※ 「学校規模の適正化及び少子化に対応した学校教育の充実策に関する実態調査」
(2014年5月1日調査)より作成

 

都道府県が国に望む支援も、「教職員定数の加配措置による支援」が最も多く、47すべての都道府県が望んでいます。100%です。次いで「施設整備への補助」が38ですから81%、「学校規模適正化の適否を検討する際に参考となる資料の提供」は、5番目に出てきて31、つまり66%です。

 

また、都道府県では、「統合が困難な小規模校への支援の充実」が2番目の「施設整備への補助」とほぼ同程度の高さです。

 

地方が望むことが学校統廃合とリンクされる危険性

「手引」では「財政的な支援も含めた様々な方策と併せて地方自治体の主体的な取組を総合的に支援する一環として策定するもの」(「手引」4ページ)と「手引」の位置づけを述べています。

 

地方が本当に望んでいる「教職員の加配措置」や「「施設整備への補助」などの財政支援を学校統廃合とリンクさせ、学校統廃合を財政支援によって誘導する方向が透けて見えます。

 

逆に言えば、この「手引」に従って学校統廃合を進めなければ、国からの財政支援はカットするということです。

 

過去の指針は廃止

「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引の策定について」の通知(2015年1月27日)と「手引」の策定をもって、過去の指針(通知・手引)は廃止しました。

 

過去の指針は、昭和31年の文部事務次官通知「公立小・中学校の統合方策について」、昭和32年に公表された「学校統合の手引」、昭和48年の文部省初等中等教育局長・管理局長連名通知「公立小・中学校の統合について」の3つです。

 

昭和31年(1956年)通知は、学校統合を推奨した通知、昭和48年(1973年)通知は、学校規模を重視した無理な統廃合をしてはいけないとする通知でした。

 

なお、「手引」では「本手引の内容を機械的に適用することは適当ではなく、あくまでも各市町村における主体的な検討の参考資料として利用することが望まれます」(「手引」5ページ)と明記しています。

 

これは、「無理な学校統廃合の禁止」「小規模校の尊重」など1973年通知の趣旨を無視できないからです。1973年通知は廃止されますが、これまで全国各地の地域住民のたたかいが勝ち取った歴史的成果を、国もさすがに完全に葬り去ることはできなかったのです。

 

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